「長尾チャンネル」は、個人ブログでもXのスペースでも言うとBANされてしまう、報道されていることの「裏側」を、これからもお伝えしていきます!
もうすぐ桜の季節です。東京の開花宣言は、どこの桜を基準(標準木)にしているか、知っていますか?
そう、靖国神社です。実は日本各地には、58本の標準木(ほとんどがソメイヨシノ)があるそうなのですが、僕は、靖国のなかに東京の標準木があるということに歴史の重さを噛みしめています。僕もときどき参拝します。日本のために闘ってくださった人たちに手を合わせるのは、ごく自然な気持ちです。
しかし、「靖国神社」という言葉を目にするだけで、目くじらを立てる人たちがたくさんいるのも知っています。日本の総理大臣が公式参拝することは、もはやタブーとなっています。ちなみに、今まで公式参拝した総理大臣は以下の通りです。
吉田茂:1951年10月18日から1954年4月24日までの間に、5回参拝。
岸信介:1957年4月24日と1958年10月21日の2回参拝。
池田勇人:1960年10月10日から1963年9月22日までの間に、5回参拝。
佐藤栄作:1965年4月21日から1972年4月22日までの間に、11回参拝。
田中角栄:1972年7月8日から1974年10月19日までの間に、5回参拝。
三木武夫:1975年4月22日から1976年10月18日までの間に、3回参拝。
福田赳夫:1977年4月21日から1978年10月18日までの間に、4回参拝。
大平正芳:1979年4月21日から1980年4月21日までの間に、3回参拝。
鈴木善幸:1980年8月15日から1982年10月18日までの間に、9回参拝。
中曽根康弘:1983年4月21日から1985年8月15日までの間に、10回参拝。
橋本龍太郎:1996年7月29日に1回参拝。
小泉純一郎:2001年8月13日から2006年8月15日までの間に、6回参拝。
安倍晋三:2013年12月26日に1回参拝。
……以上、こうして振り返るだけで、日本のアジアにおけるパワーバランスが透けて見えてくるように思うのは私だけでしょうか? 日本の首相による靖国神社参拝に対する中国や韓国の強い反発は、1970年代後半から顕著になりました。その主なきっかけを具体的に説明しましょう。
1. 1978年~A級戦犯の合祀~
1978年10月17日に東京裁判(極東国際軍事裁判)で戦争犯罪の責任を問われた東条英機(元首相)などのA級戦犯14名が、靖国神社の祭神として合祀されました。これは極秘として行われ、公に知られたのは翌年、1979年4月19日のこと。これがきっかけとなり、国内外の議論が始まりました。それまでの靖国神社は「戦没者の慰霊施設」と見なされていましたが、A級戦犯合祀により「戦争責任者を祀る神社」との印象が強まったのです。
2. 1985年~中曽根康弘首相の公式参拝
1978年のA級戦犯合祀後、歴代首相は靖国参拝をしていましたが、比較的静かな反応でした。しかし、1985年の中曽根康弘首相の公式参拝が大きな外交問題となりました。なぜか?
1985年8月15日(終戦記念日)に、中曽根首相が官僚を引き連れて靖国参拝を実施したからです。これを中曽根氏は「公式参拝」と自ら述べたことにより、中国は特に激しく抗議し、日中関係が悪化しました。その背景には、1982年からの歴史教科書問題(「侵略」を「進出」と書き換えたという報道)があります。 結果的に、中曽根首相は翌年から靖国参拝を取りやめています。
3. 1990年代以降:韓国の反発が強まる
韓国は、1985年の中曽根参拝の際にも批判しましたが、本格的に問題視するようになったのは1990年代に入ってからです。具体的には、1991年に元「従軍慰安婦」の証言が公に出たことで、韓国国民のあいだで日本への憎悪が高まったといわれています。これに対し、1995年にいわゆる「村山談話」(先の戦争への反省表明)が出ましたが、国内の右派から大きな反発があったものの、国外においてはそれほど大きく受け止められませんでした。
4.2001年~2006年:小泉純一郎首相の繰り返しの参拝
それを「我関せず」として、繰り返し参拝をしたのが 小泉首相でした。これにより、 2005年には、中国で反日デモが激化し、日本企業のスーパーや大使館が襲撃される事態にまで発展しました。しかしこれは一方で、経済状況が悪化する中国政府の「ガス抜き」的な報道があったともみられています。
5. そして2013年12月26日、安倍晋三首相が靖国神社を参拝。中国・韓国はもちろん、このときは、アメリカも「失望した」と表明しました。アメリカが靖国参拝に対して公に否定的なコメントを出したのは異例であり、靖国参拝の外交的な影響がさらに大きくなったといわれています。
これ以降、日本の首相は誰も靖国神社を公式参拝していない。つまりは、中国・韓国の反発であれば、かえって、靖国参拝することで「中国・韓国に怯えない強い首相」のイメージを国民に根付かせることができるが、アメリカに「失望した」といわれることは、支持率を落とすことになりかねない……そんな思惑を感じざるを得ません。
しかし、アメリカに対してとても弱気な日本政府に喝を入れているアメリカ人ジャーナリストがいるのをご存じでしたでしょうか?
ジェイソン・モーガン氏といいます。ジェイソン氏は、このように述べています。
「靖國神社に参拝し、英霊たちの精神、心に思いを馳せれば、日本人はどう生き、どういう社会を実現していけばよいのか、自ずと分かってくるはずです」
ジェイソン氏は昨年夏に、『私はなぜ靖国神社で頭を垂れるのか』という書籍まで出版されている。
この本を読んでいると気が付く。「反日」思想を醸成し続けてきたのは、実は、韓国でも中国でもなく、「アメリカ」だったのではないか・・・・・・!? ジェイソン氏は、日本在住で、これまで「南京事件」「慰安婦問題」「徴用工問題」などについての研究を続け、これらの情報統制・洗脳の根幹が、西洋近代を形成してきた「啓蒙主義思想やピューリタン思想」によるものと「発見」した。そして啓蒙主義の弱点を最も強烈に攻撃するものこそが靖国神社が担保してきた魂の「永遠性」なのだと指摘する。なぜアメリカ人ジャーナリストが、そうした思想に行きついたのか? 「天皇制」問題とからめて、今回は、日本人の日本人たるアイディンティティに対して、「右」でも「左」でもない、新たな視点でわかりやすく語っていきたい。
ジェイソン・モーガン
1977年、アメリカ・ルイジアナ州生まれ。テネシー大で歴史学を専攻後、名古屋外大、名古屋大・大学院、中国・雲南大、ハワイ大・大学院などを経て、2014年にフルブライト研究者として早稲田大法務研究科。ウィスコンシン大で博士号を取得後、日本で研究職を務め、2020年4月より現職。敬虔なカトリック教徒でもある。著書に『アメリカはなぜ日本を見下すのか?』『リベラルに支配されたアメリカの末路』(以上ワニブックスPLUS新書)『アメリカも中国も韓国も反省して日本を見習いなさい』『アメリカン・バカデミズム』『歴史バカの壁』(以上育鵬社)、『日本が好きだから言わせてもらいます』(モラロジー道徳教育財団)『バチカンの狂気』『LGBTの語られざるリアル』(我那覇真子との共著/以上ビジネス社)訳書には、キャンディス・オーウェンズ『BLACKOUT』(監訳)など多数。
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