今年一年が終わるが鼻ニキビのせいで台無しだ。
今年一年は鼻ニキビの年だった。
鼻ニキビしか思い出がないくらい鼻ニキビが俺の全てだった。
思えば今に限ったことではなく鏡を見ればいつも鼻ニキビがあった。どれだけ洗顔しようが保湿しようが鏡に映るのはアクネ菌に支配された醜いトナカイのような赤い鼻が俺のトレードマークであり象徴だった。
本日帰宅後マスクを外し自分の鼻を確認すると5個ある鼻ニキビに加えまたひとつS級の鼻ニキビが出現していた。
もう鼻ニキビというよりニキビ鼻だ。ケロイドのように波打った俺の鼻には本来の姿をした正常な皮膚をした面積よりも赤く腫れ上がり皮膚が弛んだニキビが全てを占有しているのだ。
つまり今の俺の顔面には成人男性の鼻サイズでヤクルト一本ほどの膿を蓄えた超巨大ニキビが突然変異的に生体侵襲しているのだ。
もうマスクを外して外に出ることもできなければ人前で水を飲むことも許されない。
ブラックジャックが存在するなら臓器を売ってでも作り物の鼻に整形してもらうだろう。
しかしそんなファンタジーはなく完治することはないので俺の天涯孤独が確定した。
俺は身長156cm46kgの超ド級のチビガリの風貌に加え唯一平等に訪れると言われている年齢の武器を無に帰すようなM字ハゲを患っている。その上目つきの悪い一重まぶたのブサメンフェイスを追撃するように巨大な鼻ニキビが顔面の中心に目立つように存在し、ほうれい線が深く刻まれ少しでも笑えばメフィストフェレスのようなガミースマイルが見た者全てを不快にさせる。
この醜体のおかげで当たり前のことが当たり前に起こり得ない人生になった。
ビッグバンが起きた138億年前から続いてきたとされるATPを持つ生命体の最大の根源であるり最大の意義である繁殖活動を産み落とされた瞬間から禁止されているのだ。性的魅力に該当するものが一切見当たらない人間を相手にする人間などいて良いはずがないと世の中の人間たちは皆アドルフ・ヒトラーよりも数億倍残酷で卑劣な危険思想を全員が携えていてそれが当たり前とされていることを知った。
バケモノのような見た目のせいで中身を見てもらえないと嘆くならまだ御伽話のような救いはあるかもしれないが現実は非情である。
この醜い外見のせいで誰にも相手にされず誰にも愛されなかった俺はフリードリヒ2世の人体実験の結論のようにもれなく人間不信になり俺以外の人間は全員俺を不幸にさせてきた加害者に見える。その結果性格は捻じ曲がり誰とも関わらず幸せそうに生きている人間の悶死のみを祈るようになった。
話しかけられてもすぐに話を切り上げるように頭を使い本当にムカつく奴は普通に無視する。ニコ生でアンチコメを書きまくりの毎日だ。
もう俺も若くない。そろそろこの苦しみを終わらせなければいけない。
命をかけて実行せねばならない宿命はただ一つ。
俺を不幸にした奴らすなわちこの世の全ての人闇を闇に葬り去ることだ。
「(おれは、もう、なにもない...。生きる希望も、幸福も...生きる意味さえも!まもるべきなにものもない!)」
目の前に置かれた鏡のように磨き上げられた日本刀の鞘を抜いた。
俺がやるしかないんだ。
(第一部 鼻ニキビ漂流編 完)
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