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※ 放送終了から1週間後の23時59分までの間、番組をくり返しご覧いただけます。
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【収録時のイベント概要】
ゲンロンカフェの新企画「ゲンロン・セミナー」。第1期は「1000分で『遊び』学」をテーマに、さまざまな分野の専門家による連続講義をおとどけします。
第3回の講師は、歴史学者の池上俊一先生です。
中世ヨーロッパ史をご専門とする池上先生は、動物や身体、自然、魔女など、さまざまなテーマから多くの著作を執筆されています。そのひとつが、「遊び」から中世ヨーロッパを描き出した『遊びの中世史』(ちくま学芸文庫)です。
今回の講義では、『遊びの中世史』をさらに深掘りし、「遊びの精神」に満ちた中世ヨーロッパを手がかりに、「遊び」の意味や役割に迫ります。
農村から都市、宮廷の道化師から教会建築や文学作品まで、「遊び」に満ちていた中世のヨーロッパ。講義では、ボール遊びとサイコロ賭博をはじめとした、中世ヨーロッパに見られた多様な「遊び」のかたちをたどります。
そのさきに浮かび上がってくるのは、「遊び」の意味や役割が歴史をつうじて変化してきたということです。じつは中世ヨーロッパでは、「遊び」は人びとが熱中する対象となるだけでなく、ときに厳しく禁止され取り締まられる対象となってきました。その理由を、「遊び」と「儀礼」や「労働」、「余暇」との関係のなかで考察します。
「遊び」とはなにか。なぜ人びとは「遊び」に熱中し、そして否定してきたのか。──その答えは、まさしく歴史のなかに見いだされるのです。
『遊びの中世史』のもとになった単行本の出版から約30年。ここでしか聴けない、さらにパワーアップした「遊びの歴史学」講義に、ぜひご参加ください!
【講師の池上俊一先生より】
私が西洋中世史を本格的に志した1980年代は社会史ブームで、それまで主流だった政治史・制度史・社会経済史に比べてテーマ領域は格段に広がっていました。しかし「遊び」に関しては、歴史学の課題というよりは、文学研究者が作品中の遊びを取り上げたり、民俗学者が現代の遊びの古形を調べたり、さもなければ好事家の領域だとされることがまだ多かったように思います。『中世の秋』で知られる偉大な中世文化史家ホイジンガの、もうひとつの名著『ホモ・ルーデンス』がすでに1938年に出版されているのに、これは不可解なことでした。そこで私は、中世の遊びについて総合的に考えたいと思い、1994年に『賭博・暴力・社交—遊びからみる中世ヨーロッパ』(講談社選書メチエ、後に『遊びの中世史』ちくま学芸文庫、2003年として再刊)を上梓しました。
そのときの考えは、今でも大きく変わってはいないのですが、今回の講座では「遊び」概念が長い中世の間に、そして中世から近代に移る過程でどう変化し、それはいかなる状況に対応するものだったのかについて「労働」や「閑暇」「怠惰」「余暇(レジャー)」などの概念との関係の下に考察をより深めてみたいと思います。また「スール競技」「九柱戯」「ザーラ遊び」という3つの遊びを詳しく検討して、中世の遊びの特質を探るのも新機軸です。それから、話の途中で、歴史家が史料をどう読むのか、1通の王令を例に紹介するつもりです。
参加者の皆さんが、物事を歴史的に考えることの重要さ、またヨーロッパ中世の魅力に気づいていただければ幸いです。
遊びの歴史学 – ゲンロンカフェ
https://genron-cafe.jp/event/20230513/