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もんすは

(1時間51分)

Pharaoh
曰く、霊峰に棲む嵐の化身。曰く、大いなる厄災の龍。
ユクモ地方近辺では古くから伝承の中にその存在が残されており、
人々から「天の神」「暴風と竜巻を従える龍」「破滅の龍神」などと呼ばれ、畏れられてきた古龍。
山吹色の模様が入った白い飛膜を背に、黒い甲殻を腹に抱えた、細身で長大な姿をしている。
頭部には不釣り合いな程に巨大な2本の黄金の角が後方に向かって生えているが、
その壮麗で神々しい角には傷らしい傷が全く存在しないという。
これは恐るべき力をもつアマツマガツチに手向かえる者がいなかったことの証左である。
古龍としての能力として、自らの意思で嵐を呼び、自在に操る
何もせずとも大嵐を生むその力から、ハンターズギルドからは《嵐龍》とも呼ばれる。
古龍種には自身の縄張りに他の生物が侵入してもあまり気に留めない種や個体も少なくないが、
アマツマガツチは例外的に強い縄張り意識を持ち、自らの領域を他の存在が侵すことを許さない。
近年ユクモ村付近に姿を見せた際は、とある霊峰を中心に縄張りを張り、
その付近で暮らしていたモンスターを全て追い払った上、
各調査のために航行していたギルド所有の飛行船をことごとく撃墜していた。
火竜のブレスの直撃にも耐えるという強固な飛行船でさえ、
アマツマガツチにとっては他の存在と何ら変わらない、縄張りに侵入して来た脆弱な不埒者でしかなく、
荒れ狂う嵐とその巨体からの攻撃に為す術無く叩き落されるのみである。
例え縄張りに侵入しなかったとしても、アマツマガツチが纏う嵐は周辺一帯に暴風や豪雨、落雷などを次々と齎し、
さらにそれらに誘発される形で倒木、水害、火災、土砂崩れなどが多発する事態となり、
結果的に出現地域の生態系、環境、人々の生活区域を諸共に破壊してしまう。
それほどの規模の嵐を移動手段としても利用しているため、
アマツマガツチが出現・接近するだけでも地域一帯には大災害級の被害が発生する。
大昔、ある地方において村一つがたった一夜で荒れ地と化すという天災が起こったが、
これは巨大な大嵐が村を襲ったためだとされており、その原因こそ他ならぬアマツマガツチであるという。
また、古龍研究者の見解によれば、歴史上でユクモ地方周辺に発生した嵐が原因とされる災害には、
多くの場合この嵐龍が絡んでいたらしい。
なお、落雷や暴風をもたらすという点ではカムラの里近郊に出現した風神龍雷神龍との類似性がみられるが、
カムラの里においては風神龍や雷神龍、百竜夜行を超える大いなる災いと称され、
過去に同里を襲った災害を含めても最大級の脅威として扱われている。
前述の能力によって自らの周囲に気流を発生させ、全身の羽衣のような飛膜で捉えることで空中に浮かび、
一切羽ばたく事も無く、まるで空中を舞う、あるいは泳ぐかのような動きを見せる。
なお、その動きを可能とするためか、海竜種やナバルデウスなどに近い「泳ぐ」事に適した骨格を持つ。
ちなみに一部の特殊な能力を持つ古龍種は、角に甚大なダメージを負ったり、
毒などによって体内器官が衰弱すると能力の制御に支障を来すとされているが、
アマツマガツチに関してはこれらの手法による能力への影響は確認されていない。
体内には膨大な量の水を蓄えられる「嵐気胞」と呼ばれる特殊な器官を持つ。
この嵐気胞に蓄えた水を利用し、強力な水流のブレスを放つことができ、
その威力は高高度から放ったとしても地面を穿つほどの凶悪さを誇る。
また、周りの気流を操って防御壁としたり、突風に乗った突進を行うほか、
外敵を取り巻く小規模の竜巻を連続発生させる、吸引するように自分の元まで引き寄せる、
極めつけは自身の巨体を完全に包み隠しながら天まで立ち昇る巨大な竜巻を生み出すなど、
嵐を操る能力を存分に使った大規模な攻撃を見せる。
なお、アマツマガツチが従える暴風はもはや風の域にはなく、風圧に耐えうる防具も全く用をなさない。
外敵の自由を奪い、巨岩すらも軽々と巻き上げる気流を無力化する術は未だに見つかっておらず、
災厄を止める手立てはアマツマガツチを制することのみである。
興奮状態に入ると眼や胸部が淡い橙色に光り輝き、
その妖しげな光に照らされた者は未来を奪われるとも言われている。
生命の危機に瀕し激昂した場合、更に飛膜の模様が赤い斑点に変化し、
全身の白い飛膜が黒ずみ、角がさらに強く鮮やかに輝きだす。
激昂し真の力を発揮したアマツマガツチは強烈な雷をも操るようになり、
嵐を構成する三つの力「雷」「風」「水」を統べる、
まさに「嵐龍」の名を究極的に体現した存在となって外敵を殲滅せんと荒れ狂う。
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