なぜ美術館では作品に触れないのか?
美術館での「鑑賞体験」を問い直す新進作家のグループ展と、
日常に満ちる小さな謎を探求する写真家・野口里佳の展覧会。
東京都写真美術館で開催中の2つの展覧会を紹介します。
番組概要
東京都写真美術館で開催中の2つの展覧会を、それぞれの担当学芸員による生解説を聞きながら巡ります。
「見るは触れる 日本の新進作家 vol.19」
東京都写真美術館では、写真・映像の可能性に挑戦する創造的精神を支援し、
将来性のある作家を発掘するため、新しい創造活動の展開の場として
「日本の新進作家」展を2002年より開催しています。
第19回目となる本展では、写真・映像イメージの持つテクスチュア(手触り)を起点に、
写されたイメージのみならず、イメージの支持体となるメディアそれ自体への考察をうながす、5名の新進作家の試みをご紹介します。
写真・映像とは本来、物質性をともない、見る者の身体と密接な関係の中で存在するメディアと言えます。
しかしながら美術館という、作品から一定の距離をとり鑑賞することが求められる場においては、
作品に触れ、その肌理や重量を感じることは許されません。
にもかかわらず、そうした状況においても、
わたしたちは視覚のみから作品のテクスチュアを感じ取る、豊かな想像力を有しています。
さらに、コロナ禍において接触が禁止される世界にあっても、
視覚や聴覚を最大限働かせることで、アクリル板やモニター越しに相対するモノの手触りを知覚することが可能です。
本展でご紹介する5名の作家による写真・映像作品は、視覚を通しその物質としての手触りを想起させます。
さらに、わたしたちが今見ているイメージとは、どのような物質から構成されているのか、
イメージの生成プロセスのみならず、写真・映像メディアの本質へと目を向けさせます。
本展は、5名の作家による探求を通し、多様化し掴みどころのない写真・映像メディアの現在地を捉える機会となるでしょう。
(
展覧会ホームページより)
「野口里佳 不思議な力」
このたび東京都写真美術館では「野口里佳 不思議な力」展を開催します。
野口里佳は1995年「写真3.3㎡(ひとつぼ)展」と1996年「写真新世紀」展でのグランプリ受賞以降、
〈フジヤマ〉(1997年–)、〈飛ぶ夢を見た〉(2003年)、〈太陽〉(2005–08年)、〈夜の星へ〉(2014-15年)などの
写真・映像作品を国内外の展覧会で発表し、国際的にも高い評価を受けている写真家です。
野口はこれまでに、水中や高地、宇宙といった未知の領域と人間との関わりをテーマにした作品を手がけてきました。
近年では、日常や周囲に満ちる無数の小さな謎の探求を通して、見るものの感覚や想像を解き放つような表現を追求しています。
写真と映像、ドローイングによって構成される本展は、
初期作品〈潜る人〉(1995年)から最新作〈ヤシの木〉(2022年)までを出品作品に含み、
時間や場所も超えていく写真の「不思議な力」に導かれるように、
野口がこれまでに出会ってきた様々な現象や光景が描き出されます。
その独自の作品表現に触れることは、それぞれの存在がこの世界に生きていることの意味を見つめ直し、
また写真・映像のもつ「不思議な力」とは何なのかを考えるきっかけとなることでしょう。
(
展覧会ホームページより)
出演者(敬称略)
●
遠藤みゆき(東京都写真美術館 学芸員)
●
石田哲朗(東京都写真美術館 学芸員)
展覧会概要
「見るは触れる 日本の新進作家 vol.19」
会期 : 2022年9月2日(金)~12月11日(日)
休館日: 毎週月曜日(月曜日が祝休日の場合は開館し、翌平日休館)
会場 :
東京都写真美術館 3F 展示室
「オンラインによる日時指定予約」は(
こちらをクリック)を推奨
「野口里佳 不思議な力」
開催期間:2022年10月7日(金)~2023年1月22日(日)
休館日:毎週月曜日(月曜日が祝休日の場合は開館し、翌平日休館)、年末年始(12/29-1/1、1/4) ※12/28、1/2、1/3は臨時開館
会場 :
東京都写真美術館 2F 展示室
「オンラインによる日時指定予約」は(
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