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ゲンロンカフェ初登壇の佐藤優氏は、外務省で主任分析官を務めた経歴をもち、外交のリアルを知る存在です。近著『菅政権と米中危機』(手嶋龍一氏との共著)でも、ときに国家は国民に嘘をつかなければならないと語ります。歴史的にも、国際社会の問題と国内にむけたプロパガンダはコインの裏表でした。
また同書で、佐藤氏は「首相機関説」という見立てを披露しています。安倍長期政権で作り上げられ、菅政権にも受け継がれた独特な統治システム。それは、小泉純一郎元首相のようなカリスマ的な政治の動かし方とは対照的なもので、いま注目すべきなのは、首相の人格や信念よりも政治を動かしているシステムといいます。
まったく新しい安倍長期政権分析として話題の『新プロパガンダ論』を上梓したばかりの辻田真佐憲氏と西田亮介氏は、佐藤氏の見立てをどう捉えるのでしょうか。
同書で西田氏は、いま有権者側は理性的に政局を認識することができず、また政治側も好印象の獲得に積極的に取り組むことで、「イメージ」によって政治が駆動する状態にあると述べます。イメージと政治をめぐる本書の内容は、第二次安倍政権下の社会状況を中心に扱いながら、菅政権以降をも見通す本質的な議論として展開しています。
また辻田氏は、同書のまえがきのなかで、専門知と総合知の関係について言及します。フェイクニュースや陰謀論が広がるいま、専門知の重要性が訴えられています。しかし専門知を過剰に持ち上げ、領域横断的に大胆な視野で語る総合知をないがしろにすることは、かえって専門知と市民社会を乖離させるといいます。
現代の「知の巨人」とも称される佐藤氏と、専門家と評論家の協働が重要だと語る辻田氏、西田氏に、これからの知のあり方についてもたっぷりとお話をいただきます。