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文筆家の川端裕人氏の新著『「色のふしぎ」と不思議な社会』が反響を呼んでいる。先天色覚異常の当事者でもある川端氏が、色覚異常をとりまく社会状況、臨床にたずさわる眼科医たちの声、さらに色覚についての先端科学の知見などに迫るノンフィクションだ。
なぜ、いま色覚異常が話題になるのだろうか。実は、2004年に学校検診での色覚検査は事実上廃止されたが、2015年頃より、眼科医たちから色覚検査の実施を呼びかける声が再び高まっていった。職業選択の際などに不利益を被ることがないように、自身の色覚の特性を知らせるべきとしている。
しかし一方、科学者たちは、色覚異常は「異常」ではないとする。色覚の違いは多様性の一部であり、ヒトが集団で社会を形成するなかで、その多様性が維持されてきた可能性を示唆している。川端氏は、ゲノム研究の進歩でわれわれの遺伝情報の解明が進むいまだからこそ、「多様性の時代」を考えるためのヒントとして、色覚をめぐる問題はさまざまな意味を持つのではないかと述べている。
この度ゲンロンカフェでは同書の刊行記念として、川端氏のほか、写真家の大山顕氏、幹細胞生物学・科学技術社会論が専門の八代嘉美氏をお招きしてのトークイベントを生配信する。
大山氏は、著書『新写真論』など、スマホやSNSといった写真をとりまく状況が変わるなかで、われわれの視覚のあり方がどう更新されているのか考察を重ねている。八代氏は、幹細胞研究と関連の情報発信で活躍し、再生医療など最先端の科学技術と社会の関係についての鋭い分析などで知られている。
新型コロナウィルス感染拡大以降、科学と医学の関係、専門知と社会のあり方はおおきく問い直されている。ゲンロンカフェならではの刺激的な議論をお見逃しなく!
※ 放送のみ(会場は無観客)のイベントです。