デイブにボコボコにされたミスターが半ベソかきながら
歩いている。左手に握った人形にはマジックで「バカ」の文字。
パンチいたい。ニポンこわい。もう国に帰って見合いでも
しよう。
やって来たのは荒川河川敷。あとはイカダに乗って
帰るだけなのだが、そこに何やら人だかりができている。
「バキくん、おめでとー!」
「脅威の回復力だよ、バキくん!」
刃牙のなんちゃって退院祝いである。極太のつっかえ棒に
支えられた刃牙に、花山や烈の慶賀ビンタが炸裂する。
殴られて脳波形が反応を示すたびに、周りが爆笑の渦に
つつまれる。
梢江が上から降りてきた。橋から垂らされたゴムひもの
一端を、刃牙の腰にくくりつける。逆バンジーの準備も
万端だ。
「嬉しいか、バキ。嬉しかったらふしゅると言ってみろ」
「ふしゅる」
一同、どっと沸きあがる。シコル祭りの始まりだ。
バケツをかぶって股間に手をあて、刃牙を囲んで輪になった
仲間たちが踊り狂う。
30分後。
「なんつったって救命阿だよな、そうだろバキくん!」
「じゅーみんあ」
熱狂はさらにヒートアップ。そのまま烈祭りになだれ込む。
感極まった烈本人が、全裸で川面を走り回る。
ミスターの目を釘付けにしたのはしかし、刃牙の
つっかえ棒であった。あれは・・・・・・
「わたしのっっイカダっっっ!!」
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