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ヒアリング

(5時間07分)

プロひやかし
およそ600年前、能を大成した世阿弥(ぜあみ)は、能楽に関するさまざまな文書を執筆していたことでも知られ、50歳半ばに書いた『花鏡(かきょう)』という伝書には「初見忘るべからず」という言葉を書き残している。

一般的に「はじめの志を忘れてはならない」という意味で使われるが、世阿弥が言った「初見忘るべからず」は、もう少し複雑で繊細な意味を持っていると明治大学法学部教授の土屋惠一郎(つちや・けいいちろう)氏は指摘する。

世阿弥が言う「初見」は「最初の志」に限られてはいません。世阿弥は、人生の中にいくつもの初見があると言っています。若い時の初見、人生の時々の初見、そして老後の初見。それらを忘れてはならないというのです。
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