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【イベント概要】
20世紀ロシアの異端の作家・ザミャーチン。
その代表作『われら』で描かれるのは、科学的な合理主義を極端に突き詰めた結果現れる、全体主義のディストピアだ。
「SFの父」H・G・ウェルズに大きな影響を受けたザミャーチンは、いまからおよそ100年前に、きわめて予兆的な作品を書き上げていた。
『われら』や『一九八四年』と並ぶディストピアものの傑作とされるのが、オルダス・ハクスリーの『すばらしい新世界』。
1932年に発表されたこの作品では、共生・個性・安定をスローガンとする世界国家がすべての欲求を管理し、合法ドラッグによる幸福状態を供給している。ヘンリー・フォードが神と崇められる、資本主義のユートピア。
ハクスリーは『われら』からの影響を否定しているが、両者は多くの共通点を持つ。
ソ連流・英米流のそれぞれのユートピア/ディストピアは、どのような関係にあるのか。その今日的な意義とはどのようなものか。
『われら』の新訳を手掛けた気鋭のロシア文学者・松下隆志と、2017年に『すばらしい新世界』の新訳を発表した翻訳家・大森望が、ディストピアSFの系譜を辿りながら、その現代性や文学史的意義、ロシア、スラブ文化圏におけるSFの現在に至るまで、縦横無尽に語りあう。
社会主義のディストピア、資本主義のユートピア – ゲンロンカフェ
https://genron-cafe.jp/event/20191107/