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【2015/2/25配信】常岡浩介×津田大介+東浩紀「パリ風刺画新聞襲撃、イスラム国、そして、私戦予備陰謀――どこへゆく人類文明とニッポン?:『イスラム国とは何か』刊行記念」

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(3時間59分)

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「太陽がまぶしくてアルジェリア人を殺し、世間の罵倒を浴びながら幸福のうちに死刑を執行される」という仏の青年を描いた小説「異邦人」を書いたカミュはノーベル文学賞を受賞。代表的な実存主義文学と呼ばれるこの作品もまた既存モラルと権威への挑戦であり、仏の涜神文化の流れの上にある。
一方、預言者を誹謗した新聞社を襲撃し12人を殺害したクアシ兄弟は、リアル異邦人とでも呼ぶべき人々だった。彼らはアルジェリア移民三世で、仏で生まれ、仏社会の底辺に暮らし、犯罪を重ねて刑務所に出入りし、その中でイスラム過激派となり、仏の涜神文化の象徴たる風刺画新聞を軍事攻撃した。
異邦人の主人公とカミュがアルジェリア生まれの仏人で、とりわけカミュ自身は仏社会にも欧州社会にも最高の評価を受けて生きたのに対し、クアシ兄弟の方はアルジェリア生まれのパリジャンで、社会に報われず、仏の涜神文化を共有できない移民三世であった。
カミュはノーベル文学賞を受けながら仏の最高勲章レジオンドヌールを辞退している。同じ実存主義の代表的作家サルトルはノーベル賞もレジオンドヌール勲章も辞退。彼らに通底しているのは既存の権威の否定。シャルリ・エブドもまた権威を引きずり下ろす風刺の精神を掲げる。しかし、イスラム過激派は権威だろうか?
パリで起きたことは、とっても異邦人っぽいし、東京で起きた私戦予備陰謀事件は、カフカの審判っぽい。そして、テロと対テロをめぐる今の世界は全体としてとってもドストエフスキーっぽい。パリの該当を埋め尽くした大群衆の姿こそ、ルソーのいう一般意志と呼ぶべきものであろうし、一般意志は誤りうる。
一方で、アラブ言語圏には、近現代文学と呼ぶべきものが凡そ存在しない。なぜ、存在しないのかという疑問の答えも、彼らにはイスラームがあるから、となる。
犯人グループは、果たしてアラビア半島のアルカーイダの指令を受けていたのか?ユダヤ食品店を襲ったクリバリはイスラム国と繋がっていたのか?兄弟とクリバリは連携していたのか?あるいは、その繋がりは、「弱いつながり」というべきものだったのではないか?
なにやら、ゲンロンで語るしかないキーワードばかりが現れる今回の事件を、容疑者常岡とメディア・アクティビストの津田で語ります。
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