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【3/21収録】栗原一貴「いかにして私はイグノーベル賞をとったか:異端の科学と批判性」

CH有料
(1時間43分)

ゲンロン完全中継チャンネル提供:合同会社ゲンロンカフェ

最後まで視聴するには、ネットチケットの購入が必要です

(当日開催のイベントではありません。録画を放送します)

「人を笑わせ、そして考えさせる」研究に贈られるイグノーベル賞。本講座では2012年のイグノーベル受賞者、栗原一貴の奇想天外な研究世界を紹介するとともに、その背景にある研究動機、そして受賞に至った過程について議論します。

栗原氏の研究で特徴的なのは、一見便利そうと思えたり、面白そう、と思わせたりする要素を持ちながら、よくよく考えてみると人々を不安にさせたり、怒らせたりする「物議を醸す」要素を持っていることが多い点です。

たとえばお喋りな人を邪魔する「SpeechJammer」は、話し声を僅かな時間だけ遅らせて話し手に聴かせることで話しにくくさせる携帯型デバイス。「うちの奥さんに使いたい」「言論の自由は終わった」などと賛否両論。映像を極限まで高速鑑賞する「CinemaGazer」は、映像のシーンごとに異なる人間の認知可能速度の限界に着目し、過激な早送りを自動化することでインテリジェントな「早見」を実現するシステム。「長い連ドラが見られる」「映像作品の美の破壊だ」と、こちらも評価は荒れ模様。「GeofaceProject」は、顔認識技術を用いて、GoogleMapの衛星写真から「人の顔」に見える地形を自動的に探すプロジェクト。オカルト好きにはたまりません。

近年の情報技術の高度化は、もちろん私達の生活を豊かにもしますが、同時に私達がこれまで大事にしていた価値観を暴力的に覆す可能性を秘めています。
また、多少の曖昧性があるからこそ無難に成立している我々の世界の約束事の管理が、愚直かつ高速なコンピュータに代替されることにより、思いもよらない結末に至ることもあるでしょう。

栗原氏の研究は、そのような危ういバランスの上で成立している現代社会の脆弱性を、様々な先端技術の風刺的活用により遊撃的にあぶり出していると言えるかもしれません。異端の科学と批判性の世界を、ぜひお楽しみください。
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