誰のための都市開発、排除されるのはホームレスだけ?公共の場所は本当に市民に開放されているのか?現代の都市政策を決めているのは一握りの裕福な人々です。環境整備、地域の活性化などとうたった再開発は、貧困という目障りなものを排除し、住民が自由に利用できる共有の場を奪っていきます。ホームレスを追い出して花壇と噴水で埋めた公園では、何をするにも規制がかかり、許可なしには炊き出しもテント芝居もできません。もちろん、政治集会もできません。公共の場所といいながら市民に開放されてないのです。住民が集まって政治を議論するアゴラ(広場)のような空間が、現代の都市からは消されています。人文地理学および都市社会学のデビッド・ハーベイ教授が、オキュパイ運動の「広場の占拠」という象徴的な政治表現の意義や「都市への権利」の奪還について語ります*デビッド・ハーベイ(David Harvey): ニューヨーク市立大学教授 人文地理学、都市社会学 『新自由主義――その歴史的展開と現在』など著書多数。・スティーブン・グラハム(Stephen Graham): 英国ニューカッスル大学の都市社会学教授。 最新著は、Cities Under Siege: The New Military Urbanism (『包囲される都市 新たな都市の軍事化』)。