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おはようございます ~早朝清掃バイト行ってきます~

(30分)

yasuyoshiaoki
一人になったとたん、おれのダチは流しのパイプで鉄格子を叩いて外し、その穴からなんとか抜け出し、裏に回ってあの女看守の車に向かった。マチルダが財布を取りに行って、開けっ放しのはずだと踏んだわけ。確かに。やつは後部シートの下に転がってたショットガンを拾った。茂みに逃げこみ、それから川へ向かい、自由になるつもりだった。でも、車のドアから振り向くと、そこにはマチルダが立ってた。腐れヅラは銃の台尻を使って彼女を最寄りの車に叩きつけ、それが強烈すぎて彼女は気を失いかけた。やつはうなってみせ、銃身をあげて女の口に突っこんだ。銃身を歯からさらに奥に差しこんで、直接脳に向けたとき、突然、あたりにむかつくような匂いがたちこめた。臭気はさらに重くたれこめ、そこでそれが何だかわかった。ウンコだ。このアマ、典型的なから空いばりだ。いざって時にはおよび腰。ダブル・ショットガンの清潔で黒々とした銃身を見下ろす女の目は、でっかく見開かれた。何か言おうとしたけど、出てきたのはのどがつまったような音だけ。だから、銃身を見下ろし続けた。でも、それも長くは続かなかった。残った手で腐れヅラは女のベルトからリボルバーを取ると、その握りをアマの頭蓋骨のてっぺんに思いっきり振りおろした。その日、一番気分のいいできごとだった。で、そいつは警察のビュイックを運転して、おれたちの族に戻ってきて、この話をしてくれたってわけ」あたしはマークに、あんたの言う通りだと言った。暴走族になんか入りたくないや。その陽射しの中に立ち尽くし、自分が何が欲しいのかもまだわかんないのか、と思った。何が欲しくなくて何とだれが嫌いかは、じゅうぶんにわかってる。それだけでも大したもんだ。それであたしは思った。いつの日か、ひょっとして、美しい世界に、ある人間社会が、ひたすらむかつくだけじゃない社会が生まれるかも。
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