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【イベント概要】
人気シリーズ「大森望のSF喫茶」半年ぶりの第25回は、ハヤカワSFコンテスト受賞後第一作『ゲームの王国』(早川書房)が話題の小川哲さんと、評論家・翻訳家の山形浩生さんをお迎えします。
山形浩生さんはゲンロンカフェ初登場。文筆家としての活動とともに、大手調査会社に勤務し、カンボジアなど途上国援助の業務にも関わっています。ポル・ポトの隠し子と天才少年ムイタックを軸とする規格外の長編を、大森さん、山形さんはどう読んだのか。
作品の背景から今後の展望まで、『ゲームの王国』の向こう側に迫ります。
『ゲームの王国』は、ポル・ポト時代から未来にかけてのカンボジアを舞台にした「ゲーム」についての小説です。ポル・ポトの原始共産主義は、国民に極端で厳密なルールを課す、まさに「ゲーム」的な社会でしたし、現在のカンボジアは他の多くの途上国と同じく、政府の設定したルールがうまく機能せずにいます。
「ゲーム」には様々な定義があります。たとえばロジェ・カイヨワは、その本質が「パイディア(Pidia)」と「ルドゥス(Lidus)」にあると述べました。「パイディア」とは規則から自由になろうとする力であり、「ルドゥス」は規則に従わせようとする力です。この二つの概念は、「ゲーム」の本質であるだけでなく、人間そのものの本質でもあると思います。
人々はテレビゲームやスポーツなどの狭義の「ゲーム」を楽しむ一方で、政治や経済などの広義の「ゲーム」の中で生活しています。
『ゲンロン8』は「ゲーム」を特集するそうですが、今回のイベントが様々な娯楽や学問、歴史の中に含まれる「ゲーム」について考える機会になれば幸いです。
(小川哲)
「暴力の歴史から未来のゲームへ」 – ゲンロンカフェ
https://genron-cafe.jp/event/20171128/