ロシアは記念碑大国である。
現在もモスクワに「最後の大作家」ソルジェニーツィンの記念碑が建てられようとしており、先日コンペの結果が発表されたばかりだ。
昨年はAK-47の設計者カラシニコフの銅像が建てられ、話題になった。
『ゲンロン7』ではエトキント「ハードとソフト」カリーニン「魚類メランコリー学」と、記憶と記念碑を扱うふたつの論考が訳出された。
これは、ソ連崩壊後、ユートピアの記憶の処理が思想的問題になっていることを示しているが、同時に、ロシアにおける「記念碑」の存在感のあらわれでもあるだろう。
ロシアでは記念碑は台座からすげ替えられたり、革命や政治運動によって倒されたり、「魚類メランコリー学」で論じられているように海中やテーマパークに集められたりする。
「ハードな記憶」(エトキント)であるはずが、意味や形を変えつつ歴史を担っていく不思議な存在なのだ。
建築史家の本田晃子、『ゲンロン7』エトキントとカリーニンの論考翻訳者でもあるロシア文学者の平松潤奈、ゲンロンの上田洋子がスターリン時代からの記念碑政策から現代の論争まで、ユートピアの記憶の政治と表象を議論する。
共産主義ユートピア建築を考えるシリーズ第4弾。
「記念碑はユートピアを記憶できるのか
──共産主義建築、その過去・未来・ディストピア」– ゲンロンカフェ
http://genron-cafe.jp/event/20170714/