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眠れない私のための短編

(2時間40分)

ろむ。
LV2

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「深海魚たち」作・森見登美彦
(「夜は短し歩けよ乙女」より、角川文庫、平成20年2月発行)

私は古本市に弱い。
あまり長く古本市をうろついていると、きまって偏頭痛におそわれ、悲観的になり、自虐的になり、動機息切れがし、ついには自家中毒を起こす。たとえ下宿に帰りついたにせよ、玲瓏たる美女に手術台に縛りつけられて、裁断した平凡社世界大百科事典を喰わされる夢を見る。
だから古本市の季節には、私は決まって憂鬱になる。それで、今年こそは行くまいと心に決めた。
しかし土壇場になって、どうしても行かねばならない窮地に追い込まれた。
彼女が行きたいと言ったのだ。

※音の大小あればおしえてください
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