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薄れた記憶で辿る 【零 ~紅い蝶~】 第6夜

(29分)

よこわけP
LV7

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双子の姉妹、『澪』と『繭』は、幼い頃の数年間を過ごした故郷にやって来た。二人にとって秘密の場所だったこの沢は、夏休みが終わるとダムの底に沈んでしまう。最期にもう一度見ておこうと足を向かわせた。
だが、この沢では過去に、姉の『繭』が山道から足を滑らせ転落する事故が起きた。その後遺症に『繭』が現在も悩まされていることに、『澪』は罪悪感を抱いていた。
"あのとき私がお姉ちゃんを待っていたら、今も一緒に走れたのに…"
回想にまどろむ『澪』が、ふと顔を上げると、『繭』の姿が消えていた。周囲を見まわすと、紅い蝶を追って森の奥に入っていく姉を見つける。その後姿に白い着物の女性の姿が重なったが、構わず姉を追い、気が付けば鬱蒼とした森から抜け出していた。
「…お姉ちゃん?」
ゆっくりと『繭』が振り返ると紅い蝶たちが一斉に舞い立つ。眼前に広がる廃村は地図から消えた村『皆神村(みなかみむら)』だった。『澪』と『繭』は誘われるように村へ入っていく。
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