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【生放送】市川真人×中森明夫『批評空間』以降に文学は?:市川真人の現代文学講座 #2――言葉の「芸」の行方、あるいは強いられるものをめぐって」 @a_i_jp

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(3時間08分)

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ディズニー映画『アナと雪の女王』が『ハリー・ポッターと賢者の石』を抜いて歴代第3位、14週連続での興行成績第一位を更新していた6月半ば、ある話題が世上を賑わした。アイドル評論家として活躍しつづける中森明夫が、当初の依頼元である「中央公論」への掲載を拒まれたとして、サイト「Real-Japan」に『アナと雪の女王』をめぐるエッセイが全文を公開したのだ。

公開にあたって書き下ろされた前文に掲載拒否の事実のみしか記されていない以上、その詳しい経緯や判断の是非はまだ推し量ることしかできない。だが、女性性と彼女たちが強いられる「女らしさ」、そして「ありのままであること」をめぐって、小保方靖子から皇太子妃までを射程に収めたそのエッセイは、中森明夫らしい、けれん味と鋭さを湛えた佳作だった。分量やチューニングにおいて「掲載拒否」されねばならぬほどの暴力性を携えるわけでなく、著者の見事な表現の手つきと、ごくシンプルでしかし筋の通った主張(そして「アナと雪の女王」への敬意)だけが際立つその小文が拒まれることは、政治的あるいは商業的な危うさ以上に、「言葉の芸」としての文芸の拒絶にほかならない。

政治的偏向と安手のヒロイズムに満ちたオハナシがベストセラーともてはやされ著者や読者を勘違いさせる一方で、流布する物語の本質をやさしく抉る批評が拒まれる――歴史的な「近代文学の終り」とはまるで異質なレイヤーで訪れる「文芸への拒絶」を前に、小説『アナーキー・イン・ザ・JP』の著者であり、希代の読書家であり文芸批評家でもある中森明夫はいま、何をどう考えるのか。文芸の現在と未来をめぐる徹底討議120分。
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